桃源郷運動公園陸上競技場

桃源郷運動公園陸上競技場

 

建築主 旧桃山町

設計監理者 サンキコンサルタンツ株式会社

施工者 青木あすなろ建設株式会社、株式会社竹中土木、株式会社淺川組、株式会社宮村土木、舩木建設

敷地面積 9.9ha

建築面積 スタンド棟 鉄筋コンクリート造3階建て 1184㎡

施設概要 メインスタンド収容人員 780名、芝生スタンド収容人員 400名強

 

 今回のわかやまの公共建築は紀の川市桃山町に位置する桃源郷運動公園陸上競技場をご紹介します。高台に位置する本施設は旧桃山町の施設として2005年(平成17年)に竣工しました。それまで使用されていた町民グランドが紀の川沿いに立地していた為、相次ぐ洪水で幾度となく水没、浸水したそうです。そこで、もっと立地のいい場所に町民の憩いの場となるような施設が欲しいとのことでこの高台に建設されました。

 

 日本陸連三種公認の施設として小中高生の公認記録競技の場としてはもちろんのこと、天然芝が張られたおよそ9000㎡のグランドは和歌山からJリーグ入りを目指すアルテリーヴォ和歌山の試合・練習会場としても利用され、日本サッカー協会より100周年を記念し地域貢献とサッカー界発展に寄与したとして表彰もされています。

 

 南北に延びる鉄筋コンクリート造のスタンド棟にはシャワー機能も併設されたロッカー施設や救護室も配備され安心してスポーツを行うことができます。また、スタンド機能も配備されており、観客が入ることで運動公園としては非常に活気ある雰囲気になると思われます。

 

 敷地が広い丘陵地帯の中にあり、施設としては公園の中の一部になります。周囲に目を配ればのどかな山並みを望み、近くを散策すれば豊かな自然が直ぐ側にあります。周辺には雄滝雌滝公園や学習体験館(桃りゃんせ夢工房)など魅力のある施設もあります。修景池を中心に広がる芝生公園では四季折々の花が咲き訪れる人を魅了してくれます。

 

 このように公園を核とした機能的なスポーツ施設が地方に分散することでスポーツを通して地域振興というものを考える機会になりました。特に子供達の源体験としてこのような立派な施設で運動を体感できることは非常に大切な事であると思います。国立競技場に代表されるような大型施設にはない親近感のある運動公園の存在は大きく、例えばアルテリーヴォ和歌山のような一流の選手の活躍を間近に体験できることが子供達にとって大きな転機になろうかと思います。まして、本施設のような眺望に恵まれた自然豊かな競技場で様々な素晴らしい記録が生まれることは魅力的です。現在はコロナの影響もあり活動がしづらい状況ですが、運動を愛する人の活気がここ桃山の地域振興の一端を担ってくれることは間違いないと確信しました。

【会報誌きのくにR4年4月号掲載】

情報・出版委員 東端秀典

 

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