和歌山城ホール(2)

和歌山城ホール(2)

 

■主要な施設  大ホール 954席、小ホール 395席、リハーサル室 227㎡

展示室 386㎡、練習室×4、大会議室 269㎡、会議室×5、

和室×3、特別会議室、工房、多目的室、

屋上(屋上広場・ガーデンテラス・展望テラス・デッキテラス・ステージ)

今回は、和歌山城ホールの詳細について紹介します。

先ずは、構造計画について説明します。南側ファザードゾーン部分は、1階展示室前広場の利用や南全面をカーテンウォールとするため、意匠性に配慮しフィーレンデール梁を採用した鉄骨造となっています。中央のホール部分は、大スパンで遮音性能が要求されるため鉄骨鉄筋コンクリート造とし、北側のバックヤード部分は鉄筋コンクリート造となっています。

外部から建物中央にある全面ガラスの自動ドア(高さ4m)を通ると、エントランスホールとなり、4階までの吹抜け大空間が現れます。吹抜け部分は、紀州杉材のリブに覆われ、木の温かみ、匂い、柔らかさを感じる素敵な空間となっています。また、1階中央にはシンボル的な大階段を配置し、来客者の目を惹きつけます。旧市民会館では、屋外が階段状となり出演者等の集合写真の場となっていました。これからは、木に囲まれた格子を背景に、この大階段を活用していただくのはいかがでしょうか。

1階は、約400㎡の展示室(天井高さ4m)があり、スライディングウォールで間仕切ることができます。そして、南側建具を開放すると、屋外の広場と一体で利用することが可能です。また収納式の舞台を設置しているため、展示の他、講演会・発表会等としても活用できます。

エスカレーターで2階へ上ると、正面にはガラス張りの紀州杉材の格子で組まれた事務所があります。南面にある展望ロビーの東側は、大ホールとなります。和歌山城を望むホワイエは、紀州材の透かし積み壁、間接照明、杉板打放しコンクリート壁の仕上げとなり、ホールへの期待を膨らませてくれます。大ホールは、舞台に音響反射板を備え、演劇・音楽等の様々な演目に利用できる954席の高い性能を持つ多機能型ホール。客席は、春の和歌山城をモチーフに内壁のデザインである紀州灘の小波との調和を図っています。これからは様々な発表会・アーティストのコンサートの出演や鑑賞できることが楽しみとなります。

西側は、小ホールとなります。舞台は、引割幕を設置した固定の音響反射板が設置されています。音響性能を向上させると共に、音楽・講演・式典・小規模な演劇・ダンス等に利用でき、木の温もりを感じる395席のホールとなります。客席は、和歌山城の石垣をモチーフにし、壁面のデザインと調和するよう打込接(うちこみはぎ)・切込接(きりこみはぎ)のイメージを幾何学化したパターンに、実際の石垣にある謎の刻印を散りばめられたものとなっています。小ホール・リハーサル室・練習室は、防振遮音構造(ボックス・イン・ボックス)を採用し、ホール全体の防音に最大限の配慮をしています。

3階は、大ホールの舞台と同じ広さのリハーサル室と練習室4室となります。

4階は、大会議室の他に会議室5室、特別会議室、和室と工房があるコンベンションフロアーとなります。

5階は、植栽に囲まれた緑豊かな空間であり誰でも利用できる屋上庭園となります。西側は、つつじの花をデザインしたウッドデッキにベンチやパラソルを常設して和歌山城を望み、また小舞台での演目等を楽しむことができます。東側は、階段状のデッキを上ると人工芝の大広場と和歌山城を背に大舞台を配置し、様々なイベントに活用できます。人工芝に座ったり寝転んだりしている親子連れの方々が、笑顔で寛いでいる姿を見かけました。

新しいにぎわいの拠点として、市の中心にこの和歌山城ホールが生まれました。

これからは、市民ホールとしてだけなく誰でも気楽に立ち寄り、寛ぎ、楽しめる交流の場となることを期待しています。

【会報誌きのくにR4年3月号掲載】

情報・出版委員 森 隆紀

 

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