御坊市立湯川中学校

御坊市立湯川中学校

設計監理  株式会社 岡本設計

構造規模  鉄筋コンクリート造3階建て

延床面積  校舎4,116㎡ 体育館1,290㎡

施  工  谷口・玉井・巧細川特定建設工事共同企業体

竣  工  2016年2月

 

 今回は和歌山県の海岸線のほぼ中央、名前の由来になった西本願寺日高別院がある御坊市の「御坊市立湯川中学校」をご紹介します。

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 湯川中学校は、JR御坊駅を降りてすぐ左手に見え、隣に県立紀央館高等学校があり、放課後時間帯近くを通ると野球部やサッカー部の掛け声、テニス部の打つ打球の音など様々な音に囲まれます。

 湯川中学校の以前の校舎は昭和42年、体育館は昭和48年に建設されました。数回の改修工事を繰り返しながらも老朽化が進んでいる上に、耐震診断でも大規模耐震改修工事が必要との判断が出され建て直すことになりました。平成23年度には新校舎と体育館の基本設計、24年度には実施設計、25年度には新校舎建設予定地の埋蔵文化財調査の後、工事着工。そして工事は無事故で2016年2月完成となります。

 駅から校舎に向かうと鮮やかなスカイブルーで書かれたYUKAWA Junior

High Schoolと紋章が目に入ってきます。聞きますと今話題の信楽焼きでいろんな願いを込めて焼かれたと聞いています。

 正面玄関アプローチに行きますとまず目に入るのが、紀州材を使用した天井です。奥から外部に伸びている紀州材は迫力があります。その右側には校舎と体育館をつなぐ、中学校カラーでできたトラス構造の透明屋根で、明るさはもちろん、雨の日でもここで楽しく体を動かしたり、お昼休みには友達同士お話したりしていることでしょう。

 校舎の構造は鉄筋コンクリート造、延床面積は校舎が4116㎡、体育館が1290㎡で、太陽光発電設備(20キロワット)も設置されています。

 教室をはじめとする内部壁は桧、床には杉、と紀州材を積極的に活用しており、生徒が木の香りや温もりを感じられるような学習環境が確保されています。教室棟の各階の廊下には、ウッドベンチを設置しており、生徒たちが休憩時間などに談笑できる憩いの場所としてのスペースもあります。内装の一部の仕上げに木材を使用することで質感の良さや暖かみを伝える建物になっています。

 また、大規模災害時には外付けの避難階段から校舎屋上に避難することが可能であり、御坊市役所が津波などにより被災し、施設が機能しなかった場合は、災害対策本部の代替施設として湯川中学校が担うことになっています。

 新しい校舎は、生徒一人一人の夢や希望の実現に向けて活躍する場所でもあり、また、地域の人々にとっては安全で安心な場所として活躍してほしいと願っています。

【会報誌きのくにR2年3月号掲載】

情報・出版委員 亀山 忍

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