動物愛護管理センター

地名地番:和歌山市松江東三丁目1134-21の一部

住居表示:和歌山市松江東三丁目2番63

敷地面積:1,696.91㎡

建築面積:  734.23㎡

延床面積:  737.23㎡

構  造:  鉄骨造平屋建て

最高の高さ:  6.67m

設  計:基本設計 不二設計一級建築士事務所

実施設計 長尾建築設計事務所

施工:建築(本体)    大浦建設(株)

(外構)    中村設備工業(株)

電気設備      植野電機(株)

空調・給排水設備  (株)三田設備

 

令和元年10月から開始とのことですが元々この地には犬の抑留施設があったそうです。本施設を計画するにあたり、犬40頭,猫40頭を考慮して設計していたそうですが、現在は大きく頭数を上回っています。譲渡会などを定期的にされているようで興味がある方は是非とも活用して頂きたいと思います。

さて建物ですが、入るとすぐに大きいガラス張りのショールームがあり多数の猫が終始リラックスして過ごしているのがわかります。これは屋内でも穏やかに猫が過ごすことができることを見て感じて欲しいからだそうです。

設計の難しさがわかるのが檻の格子の間隔や強度の選定具合や大きさ、屋内で飼育するために掃除のし易さなどを考慮しなければならず、一般の設計とは違い動物に対する専門知識や経験値がいかにこの施設を設計するうえで大事かと学びました。

また建物内部の動線も計画する上でとても重要で外部からの保護部屋→処置室→譲渡部屋と連続しており動物の負担やストレスを極力無くす為の配慮が感じられます。施設自体が完全に閉鎖されていない為、扉などがたくさんあります。それでも脱走を試みる動物がいるそうです。施設自体が2棟に分かれていて上屋で繋がっており、動物を保護している棟と施設事務所棟が別れていますが、近隣住民に配慮して配置していると聞き、なるほどと思いました。建物の棟と棟との間を通り抜けるとその敷地の奥にはドッグランができる屋外施設も併設されていますが、こちらも当初から現在に至るまでのあいだに試行錯誤が繰り返され現在の形になっているそうです。犬の脱走防止の為、フェンスの下を穴が掘られても大丈夫なようにコンクリートを打設したり、フェンスの上部を乗り越えにくくする為にフェンスを折り曲げて返しを追加したりと。

近年、飼養管理基準が改変され当初設計した檻が現行の基準にあわず、使用できないことが起こっており保護動物を飼育する場所が限定され飼育環境を圧迫している問題が悩み所だそうです。

最後に、私も動物を飼育しています。最期まで面倒を見ることが当たり前のはずが、できない人が非常に多い事に驚きました。飼育方法も昔と違いずいぶんと様変わりし、屋内で飼うことが当たり前になっている世の中で飼育崩壊が外部にわかりにくい状況となりこれから益々増えていくことが容易に考えられます。職員の皆様方の日頃の努力に感謝しつつ、これからをどうしていくべきかを考える良いきっかけにもなりました。

【会報誌きのくにR6年2月号掲載】

情報・出版委員 村上敏治

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