かつらぎ町立三谷こども園

かつらぎ町立三谷こども園

【建築概要】

■構造・規模  鉄筋コンクリート造 2階建(一部鉄骨造)

■敷地 面積  約8,361㎡

■延床 面積  約2,643㎡(アリーナ含む)

 

今回は「かつらぎ町立三谷こども園」を紹介します。

敷地は紀の川の左岸(南側)に位置する、かつらぎ町三谷地区にあり、東西に走る県道13号線(和歌山橋本線)と紀の川の間にあります。また、果樹の木々に囲まれ広々とした園庭の中に立地しています。

元々あった木造平屋建ての旧三谷小学校が平成16年に鉄筋コンクリート造に新築されました。その後三谷小学校は閉校しましたが、平成28年に旧小学校舎を整備建築工事し、「かつらぎ町立三谷こども園」として開園しました。

かつらぎ町には7つの保育所と5つの幼稚園がありましたが、花園幼稚園を除くそれらを統合して、町内の東西に2つのこども園を配置しました。三谷こども園は現在、園児が約200名の大規模な園になり、社会福祉法人かつらぎ福祉会がその運営を担っています。

旧小学校時代の建物形状はロの字型で中心部には「希望園」という中庭があり、それを取り囲むように外が「アルミ」、内が「木」の複合カーテンウォールが施されていました。現在「希望園」は整備建築工事に伴い、地元住民からの要望もあり、敷地の南側の県道13号線から良く見える位置に記念碑と共に移設されています。「希望園」のあった場所には、食事以外に保育空間が効率的に使えるということで、ランチルームが増築され、隣にウッドデッキがあり、3~5歳児の遊び場になっています。ウッドデッキの周りはすべてカーテンウォールなので、どの階からも、どの面からもウッドデッキで遊ぶ園児を見守ることができ、ランチルーム上部にもウッドデッキを設置し、園庭で遊ぶ機会の少ない0~2歳児の外遊びの場として利用されていて、園児にとっても、保育士さんにとっても安心できるように設計されています。また、一般的な窓とは違い、中庭からの自然光が多く、光の入り方が独特で、どの部屋にいても明るく暖かい感じがしました。

小学校時代は1階に職員室、理科室等の特別室があり、2階に各学年の教室がありましたが、カーテンウォールはそのまま残し、園庭での外遊び、ランチルームへの動線や効率化を考慮し3~5歳児の保育室と職員室、医務室、調理室等を1階に、行動範囲の少ない0~2歳児の保育室等を2階に配置するため全面整備建築工事を行ったそうです。

今回の取材でお話をお聞きし、小学校舎から保育施設への整備工事ということで、昨今の物々しい世の中の事件もあり、かつらぎ町の職員さん、かつらぎ福祉会の職員さん、設計者、施工者が様々な事を想定し、地元地域の方々の要望も踏まえ、連携して園児を見守れるよう、深く勘案し計画・建築されたということが伝わってきました。このような施設があることは子育て世代である私達にとって、頼もしく安心できる存在であると思いました。

【会報誌きのくにR1年7月号掲載】

情報・出版委員 堀内 弘樹

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