きびドーム

きびドーム

●所在 有田川町下津野地内

●建築概要 鉄筋コンクリート造 地上2階 地下1階

      敷地面積 10,159.16㎡

      建築面積 981.37㎡ 延べ床面積1839.68㎡

      (地下1階398.92㎡ 1階981.37㎡ 2階459.39㎡)

外壁 化粧型枠コンクリート打放し、撥水材塗布

文化ホール 客席 301席

      ステージ 幅12.40m 奥行最大10.30m 高さ6.0m

●工期 着工  平成6年3月30 完成 平成7年3月30日

●設計・監理  株式会社黒川紀章建築都市設計事務所

●施工     株式会社竹中工務店大阪本店

 

 今回は有田川町にある建築家黒川紀章氏が設計された「きびドーム」を紹介します。阪和自動車道の有田インターチェンジを降りて、吉備金屋線を東に進んで行くと右手に見えてきます。隣に建っている有田川町役場吉備庁舎と併せて、この地域のシンボル的な建物です。優れた芸術文化に触れる場であると共に、町民の健康増進及び生涯学習を実践する拠点として、文化ホール、多目的研修室、視聴覚室、調理実習室、会議室等を兼ね備えた複合施設です。年間約17,000名の人々に利用されているようです。外観は、コンクリート打放し仕上げで、有田みかんを連想させる半球をきれいに切り分けたような形をしています。一枚一枚、形状が違う型枠をパズルのように組み立てるのは本当に大変だっただろうと思いました。メインの文化ホールは、舞台を中心に円形上に客席が配置されており、約300名の人を収容出来ます。ステージの大きさは、幅12.40m、最大奥行10.30m、高さ6.0mです。スポットライトなどの照明設備及び音響設備が完備されており、コンサート、発表会や講演会などの様々な催しに対応できるホールになっています。舞台にはかなり大きな奈落があり、これを上下させる状況も見学させていただきました。

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 奈落は、主にピアノを舞台に設置する時に使用するとのことです。次に、緞帳を上下させる状況を見学させていただきました。緞帳を降ろした状態で舞台に立ってみると、緞帳の裏側には「火の用心」と書かれていました。調べてみると、緞帳には、裏側に「火の用心」と書かれていることが多いようです。ホール、劇場のように多くの人が集まる場所は、火に気をつけなければなりません。また、開演前にスタンバイした演者さんがこの「火の用心」を見て、気持ちを引き締めるような意味もあるのでしょうか。多目的研修室は、会議室としての他、健康促進レッスンにも使用できるよう、高い天井になっています。この高い天井は曲面で、凸凹のテクスチャーを付けた仕上げになっています。下から照明を当てることにより、この凸凹のテクスチャーに陰影が現れます。この感じがとても綺麗だと思いました。取材に訪れた当日は、やはり新型コロナウイルスの影響で、この施設を利用されている方は一人もいらっしゃいませんでした。先が見えない状況ですが、一日も早くこの問題がおさまり、再び皆が集まってイベントが開かれるよう、心から祈ります。

【会報誌きのくにR2年6月号掲載】

  情報・出版委員会 大江 猛史

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