海南市わんぱく公園

海南市わんぱく公園

 

■平成12年(2000年)竣工

■構造:RC造一部S造

■広さ:約9ha(建物と里山を含む)

■設計:環境デザイン研究所

■施工:丸山組

■休館日:毎週月曜日、年末年始

 

海南東IC通過直前、東側に不思議な渦巻きの建物をご覧になられた方も多いのではないでしょうか。わかやま公共建築、今回は海南市にあります“海南市わんぱく公園”です。雄大な自然に囲まれた子供達のオアシスです。小高い山や池に囲まれ、鳥のさえずりや虫の鳴き声に耳を傾けると心の底からリラックスができます。

 

設計は環境デザイン研究所の仙田満先生です。子供の施設を作る事でも著名な先生で国内外を問わず多くの施設を計画しています。また、日本建築学会、日本建築家協会の会長も歴任されており、業界発展のために長い間ご尽力頂いた先生でもあります。

 

この建物の特徴のひとつは建築物自体の用途に遊具の機能を融合させている点です。シンボルともなる風の子館のトルネードは3次元の螺旋で構成され子供達の好奇心をかき立てます。ネットを介し自分の力で頂上を目指しますが色んな道があり、何度も往復をする子供達が多いとのことです。また、このトルネードを含む風の子館は十分な広さを保持しているため、公園施設にありながら雨天でも十分に楽しむことができます。もう一つの特徴は建築と土木の融合です。隣り合わせている学問にも関わらず長い期間互いの境界を分かち、ほんの数年前までは全く個別に存在していた傾向が強いです。この建物は本館から伸びる回廊(風の回廊)が遊歩道へと延び、そのまま敷地全体を散策する遊歩道につながっています。建物の曲線、敷地の高低差を利用した野外劇場や丘はよりいっそうこの施設が自然と一体となった設計がなされていることが分かります。

 

前述の特徴を一番強く感じ、上手く利用しているのは子供達です。開園以降入場者は増え現在では年間20万人ほどの利用が有り、土日だけで言えば一日平均1000人が訪れているとのことです。管理されている皆様のご尽力・ご意志が熱く“自然と子供達を近づけ学ばせてあげたい”その熱意が建物内に広がる鳥や昆虫などの展示、各種ワークショップ、手入れの行き届いた施設全体を見て感じ取ることができます。訪れる人は市外の人も多く、この公園を訪れて大人になった子供達が自分の子供を連れて再び遊びに戻ってくることも多いそうです。子供達にとっては文字通り“ふるさと”になっているのではないでしょうか。また、この施設が無料開放されている点も高く評価される要因の一つであると思う事を加筆しておきたいと思います。

 

建築と自然の融合された施設で子供が思う存分遊べる。そんな施設が海南市にはございます。一度足を運んで四季折々の風情を感じ取り、子供達の笑顔を見に訪れてみてはいかがでしょうか。

わんぱく公園パンフレット

 【会報誌きのくにH27年7月号掲載】

情報・出版委員会 東端秀典

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