新庄小学校

新庄小学校

01 南面(普通教室棟)【建物概要】

■構造・規模 木造、一部鉄筋コンクリート造

       2階建て2929㎡

■設計 設計→共同設計㈱

    設計意図伝達業務→共同設計㈱

■監理 ㈱日和設計

■施工 (校舎本体工事)

08 北西面(昇降口前)    建築工事:山幸・濱本組特定建設工事

         共同企業体

    電気設備工事:岩本電気産業㈱

    機械設備工事:㈱ナカシゲ

    (周辺整備工事)

    建築工事   :㈱山幸

    電気設備工事:コートーデンキ

    屋根:フッ素ガルバリウム鋼板

    外壁:横羽目板(杉-紀州材) ドイツ下見貼

       屋外用木材保護着色塗料塗り(リボス タヤエクステリア)

 06 昇降口吹抜

今回は今年竣工した田辺市立新庄小学校の新校舎を紹介します。

この建物は田辺湾、文里港の南側にある小高い丘にあり、和歌山方面からだと田辺バイパス終点、西側に位置します。 文里港は終戦後の引き上げ港として知られていますが、新庄地区は製材業が盛んな木材産業の町でもあります。

この地域は昭和21年の「昭和南海地震」では津波などの災害にも見舞われたことから、防災意識の高い地域であり、学校、地域ともに様々な防災に対する取組を行っているようです。今回の新庄小学校の校舎につきましては、当初は耐震改修の予定であったそうですが、地元の一般財団法人新庄愛郷会から構造用木材や多額の寄付金の申し出をいただき、木造による建替えとなったようです。

 

 

構造は木造、一部鉄筋コンクリート造で延面積が約2,929㎡あり、地元の紀州材を積極的に活用した建物となっています。

普通教室は南面に配置されており、明るく冬も暖かく快適に過ごす事のできる学習環境が確保されています。

教室棟から少しほの暗く木目型板の美しい鉄筋コンクリート造部分を抜けると眩いばかりの自然光が差し込み、見上げれば、木材を扇型トラス状に組まれた小屋組によるダイナミックな空間を見る事ができます。L字型に配置された建物の中央に学校の核となるこの扇型の多目的ホールがあり、ローカの教室入口脇には奥まった造り付けベンチが設けられています。また、各教室にはベンチを設けた小さな空間が設置されるなど、変化に富んだ空間構成となっており、大人でもワクワクするような造りとなっています。また、各教室の机や椅子等の家具類にも紀州材が使用されており、児童をはじめ使用する人々に木材の質感の良さや暖かみを伝える建物となっています。

木造の学校施設が徐々に増加する中、地元の木材を活用し様々な創意工夫が凝らされて完成した新校舎が、地域コミュニティの核、避難施設、子供たちに木の温もりや、やさしさに気付いてもらうことと、将来も思い出の施設として末永く地域の人々に愛されることを願っております。最後にこの新築工事に関わられた地域の方々、すべての工事関係者に敬意を表し、終わります。ありがとうございました。

【会報紙きのくにH29年 4月号掲載】

田辺支部  玉置佳範

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